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発達障がい子育て支援ブログ-オアシスの木

子育てと接し方

自閉症スペクトラムは親のしつけが原因で発症すると主張した裁判とは?

自閉症スペクトラムは親のしつけが原因で発症すると主張した裁判とは?

こんにちは、平良です。

今から数年年前、当時小学校低学年の自閉症スペクトラムの子どもを育てる父親と離婚した母親との間で、子どもの親権を争う裁判があり、私はその裁判で、被告人側(裁判を起こされた父親側)から依頼されて原告(裁判を起こした母親)の主張に反論するための書面を作成したことがありました。

今日は、関係者のプライバシーに配慮しながら、そのときの体験をみなさんにお伝えしたいと思います。

どんな裁判だったのか?

この裁判は、母親が自閉症スペクトラムの子どもを置いて勝手に家を出て行き、父親と離婚した2年後に、急に子どもを引き取りたいと言い出して起こした裁判でした。

まず母親は、弁護士を代理人に立て、家庭裁判所に子どもの親権者を父親から母親に変更するための調停を申し立てました。しかし、父親は母親に親権を移すことを承諾しなかったため、審判(裁判官が職権で決定する)に移行したのですが、裁判官も母親への親権変更を認めませんでした。

審判(裁判官の決定)の結果に納得できない母親側は、裁判を起こしたのです。

原告側の主張

原告側(母親側)の代理人弁護士は、被告側(父親側)が主張した、母親が離婚前から自閉症スペクトラムの子の育児に対して積極的に参加せず、父親と父親側の家族が子育てをしていたことを認めたのですが、1940年代にカナーが発表した論文を根拠に、離婚後の父親側の子育てが要因となって自閉症になったと主張してきたのです。


平良の反論

原告の、父親側の子育てが要因となって自閉症になったという、今の時代で考えられない原告側弁護士の主張に対し、被告側から反論する文書の作成依頼を受けた私は、先天性の脳の機能障害が要因となって自閉症になることを、専門書を引用しながら、A4用紙5枚に書いて法律事務所に渡しました。

※平良は行政書士として離婚問題の法律も熟知していて、発達障がいの大人の離婚問題にも多数かかわっています。

裁判の結果とその後

調停、審判、裁判と争った結果、母親側の子どもの親権を父親から母親へ変更してほしいという主張は認められず、月に1回母親と子どもの面会交流だけ認められました。

しかし、この面会交流の決定が、思わぬトラブルを引き起こすことになったのです。

一般的な小学3年生の子は、離れて暮らす母親と会えることを喜ぶ子が多いのですが、この子は母親と会うことを激しく拒否し、時にはパニックになることもありました。

母親と会うようになってから、小学校でも問題行動を起こすようになり、情緒が不安定になったのです。

要因は、母親と子どもの愛着関係がうまく形成されなかったことと、自閉症特有の問題が原因でした。

※法律用語では、子どもと離れて暮らす親と子どもが会うことを「面会交流」といいます。

母親の養育態度

父親とその家族から聞いた話しによると、母親はかんしゃく持ちで、子どもに対してもよく怒っていたそうです。そして、母親の母親(子どもにとってお祖母ちゃん)も、よく感情的になる方だったようでした。

お祖母ちゃんの感情的になりやすい性格が、母親に移り、そして子どもにまで負の影響を与えてしまっていたのです。

こういったことは、アルコール依存症、ギャンブル依存症、買い物依存症、パーソナリティー障害、インナーマザーなどにもみられるのですが、今回の問題も祖父母から母親、そして子どもにつながる負の連鎖の典型的な事例でした。

負の連鎖を断ち切りたい

子どもの心を最優先に考えた私は、父親と母親の承諾を得て、母親と子どもの面会交流をコーディネートすることにしました。

そして何度か母親とのカウンセリングを試みたのですが、過去の怒りや執着心が強く、自分を変えて子どもに向き合うということが、母親にはできませんでした。

最後に

自閉症スペクトラムの子どもは、たとえ母親といえども、子どもを承認・共感する態度で丁寧な子育てをしないと、子どもが安心できる母子関係をつくることが非常に難しいといえます。

この裁判は、発達障がいの子どもと親の絆を結ぶ困難さが、はっきりわかった裁判でした。

そして、弁護士ですら自閉症に対して正しい知識をもっていないことがわかりました。

怒りは連鎖します。ずっとずっと続いて行くのです。

負の連鎖に気づいたときは、私たち大人が少しずつでも変わっていけるように意識すること。

そして、子どもの心が壊れてしまわないような子育てと支援をしてあげることが、一番大切だと私は思いますね。

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