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2次障害について

佐世保女子高生事件「モーニングバード!」でアスペルガー症候群が取り上げられた誤解について知っておきたいこと。

佐世保女子高生事件「モーニングバード!」でアスペルガー症候群が取り上げられた誤解について知っておきたいこと。

こんにちは、平良です。

7月に長崎県の佐世保市で起きた女子高生の事件については、あまりにもショッキングな出来事でしたし、被害に遭った少女とそのご家族の皆さまの気持ちを考えると、このブログに何かを書くつもりはありませんでした。

しかし、7月28日に放送された「モーニングバード!」(テレビ朝日系)で、番組に出演していた法学者で中央大名誉教授の藤本哲也さんの発言を「誤解を与える」として訂正と謝罪をする場面があり、アスペルガー症候群について誤解があってはいけないと思い、今日は私の考えを書くことにしました。

藤本さんの考え

藤本さんは、2004年に佐世保で起きた小学6年生の女の子の事件を似たようなケースとして取り上げ、「今回の事件にあてはまるかどうかは分かりませんが…」と、前置きしたうえで、「彼女(2004年に起きた事件の加害者の女の子)が 『アスペルガー障害(正しくはアスペルガー症候群)』という事実が分かってきた」とコメントし、今回の事件にも同様の可能性があることを指摘しました。

さらに藤本さんは、「普通の会話なんかは問題ないですが、一つのことについて非常にこだわって、コミュニケーションが上手くいかない」 「殺しても悪いと思っていない、被害者の痛みが分からない、特別なコミュニケーション障害を持った子どもがいる」とアスペルガー症候群について説明したんですね。

藤本さんの説明に対し、コメンテーターの青木理さんは「アスペルガー障害だからといって犯罪を犯すわけではなくて、むしろ天才型の人もいるんですよ」などと、視聴者に誤解を与えないよう藤本さんの説明をフォローしていました。

その後番組の後半で小松靖アナウンサーが登場し「アスペルガー障害が犯罪を引き起こす原因になりうると取られかねない誤解を与える発言がありました。ここで改めてお詫びをいたします」 と原稿を読み上げ、頭を下げる場面が放送されました。

参考記事:アスペルガー症候群・自閉症・広汎性発達障がいの特性。

発達障がいに対する認識

先日、こちらの記事にも書きましたが、法律家や犯罪の専門家といわれる方の中には自閉症・アスペルガー症候群・広汎性発達障害・ADHD・LDなどの発達障がいについて、誤った(偏った)知識をもって、コメントする方がいるのは事実だと思います。

藤本さんは番組の中で、「今回の事件にあてはまるかどうかは分かりませんが…」と前置きしたうえで説明されているため、藤本さんを責めることはできませんが、ただ、全国ネットで放送されることを考えると、発達障がいに詳しくない方は、アスペルガー=犯罪と結びつけてしまう可能性も否定できないのではないでしょうか。

パーソナリティー障がいを疑う専門家

今回の事件では、芸能人、タレント、専門家、臨床心理士、犯罪の専門家、精神科医など、様々な方々がコメントしていますが、中でも人の心の専門家である臨床心理士や精神科医・カウンセラーの人の中には、パーソナリティー障害の可能性を指摘する声が聞かれます。

パーソナリティー障がいや発達障がいに詳しい、精神科医の岡田尊司先生によると、パーソナリティー障がいには主に次の10タイプがあります。

Check境界性パーソナリティー障がいの特徴
境界性パーソナリティー障がいは男性より女性に多いといわれています。気分や感情の起伏が激しく、否定的にものごと捉える傾向があり、ささいなことで「自分なんて生きる価値がないんだ」などと思い込み、リストカットや自殺未遂などをすることがあります。

幼い頃に、親から育児放棄をされたり、親の愛情をたっぷり受けることができなかったり、親の養育態度が要因となっていることが多いといわれています。

Check自己愛性パーソナリティー障がいの特徴
自己愛性パーソナリティー障がいの特徴は、とにかく自信過剰です。何でも自分のことが最優先で、時には相手を傷つけても、相手に損をさせても自分の主張を貫きます。まるで自分中心に世界は回っているかのように振舞うのです。

他人に対して思いやりがなく、否定的なことを言われると激しく怒ります。幼少期に親に甘やかされて育ってきた人に多くみられます。

Check演技性パーソナリティー障がいの特徴
  • 外面ばかりを気にして過剰に着飾り、中身がない。
  • 人に注目されることばかり考えている。
  • 馴れ馴れしい。など。
演技性パーソナリティー障がいは、性的虐待などを受けた人や、外面ばかり気にして、子どもの内面を大切にしない親の養育態度が要因になっていることが多いと考えられています。

Check反社会性パーソナリティー障がいの特徴
  • 他人が傷つくことに関心がない。
  • 危険な状況を好む。
  • ルールを守らない。
  • 急に怒り出す。
  • 平気で暴力を振るう。
  • 人を騙す。など。
反社会性パーソナリティー障がいは、他人に対して冷酷で、争いを好みます。脳の機能的な問題と、親の養育態度が要因となっていることが多いです。

Checkシゾイドパーソナリティー障がいの特徴
  • 対人関係を避け、孤独を好む。
  • 名誉や出世・お金に興味がない。
  • 性的な関心が乏しい。
  • 世間のことに興味がない。など。
シゾイドパーソナリティー障がいは、遺伝的な要因がかなり関係していることがわかっていて、何らかの原因で遺伝子が変異したことで、人と接することで喜びを感じることができなくなっていると考えられています。

また、ネグレクト(育児放棄)が原因となる場合もあり、遺伝子の変異と親の養育態度が深く関係しているといえるでしょう。

Check失調型パーソナリティー障がいの特徴
  • 世間の常識と無縁。
  • 常識を超えた感性や直感をもっている。
  • 変わった容姿や服装をしている。
  • 霊や超常現象・宇宙などに興味がある。
  • 被害妄想を抱きやすい。
  • 人付き合いが少ない。
  • 興味に偏りがある。
失調型パーソナリティー障がいは、遺伝子的な要因が大きく影響していると考えられています。占い師や預言者、宗教家や芸術家として活躍している人もいます。

Check妄想性パーソナリティー障がいの特徴
  • 親しい人も信じることができない。
  • 傷つきやすく、傷ついたことをずっと覚えている。
  • 夫や妻、恋人の浮気を疑い、尾行したり、下着や携帯をチェックしたりする。
  • 夫や妻、恋人の行動を監視する。
  • 警戒心が強い。
  • 妄想的な思い込みが激しい。
  • 他人の言動を否定的に捉える。など。
妄想性パーソナリティー障害は、遺伝的な要因もありますが、否定的に育てられた人に発症しやすいと考えられています。

Check回避性パーソナリティー障がいの特徴
  • 責任やプレッシャーがかかる場面を回避する。
  • 好きな人に気持ちを打ち明けられない。
  • 昇進・結婚・子どもをもつことなど責任を負うことは、やらない。
  • 自分に自信がない。
  • 不安や緊張が強い。
  • チャレンジ精神がない。
  • セックスレスになりがち。など。
回避性パーソナリティー障がいは、不安になりやすい遺伝子と、褒められて育てられなかったり、否定的な親の養育態度が原因と考えられています。

Check依存性パーソナリティー障がいの特徴
  • 自分で自分のことを決められない。
  • 常に誰かに頼っている。
  • 人の顔色をうかがう。
  • 断ることが苦手。
  • 騙されやすい。
  • 1人でいると不安になる。
  • ダメ男に貢いだり献身的に世話をする。
  • 自分に自信がない。
  • 親しい人にあの人はやめた方がいいと言われても、聞き入れない。など。
依存性パーソナリティー障がいの人は、恋人や配偶者から嫌われたり、捨てられたり、喜んでもらえないことに耐えられません。別れ話をするとリストカットや自殺未遂をする女性もいます。依存性パーソナリティー障がいは、幼少期の親の養育態度が深く関係していると考えられ、いつも不安になりがちな人が多いといえるでしょう。

Check強迫性パーソナリティー障がいの特徴
  • 責任感が異常に強い。
  • 曲がったことがきらい。
  • いい加減なことが許せない。
  • 努力家で仕事に熱中する。
  • 自分を犠牲にしてでも責任を果たそうとする。
  • 予定通りに進まないと怒る。
  • 物を捨てられない。など。

パーソナリティー障がいは1つではない

以上パーソナリティー障がいの主なタイプの基本的な説明を書きましたが、実際には一つひとつ明確に分けて診断することは難しく、いろんなタイプのパーソナリティー障がいが重複していることが多いといわれています。

発達障がいとパーソナリティー障がい

パーソナリティー障害や発達障がいに詳しい精神科医の方が口を揃えていっていますが、発達障がいとパーソナリティー障害を誤診したり、発達障がいと統合失調症を誤診したりするケースが結構あるんですね。

私のところへ来た相談者の中にも、30歳のときに統合失調症と診断され、その後専門医にかかり高機能自閉症と診断された方がいましたし、パーソナリティー障がいと誤診された方もいたのです。

パーソナリティー障がいは2次障害

パーソナリティー障がいのほとんどが、育ってきた環境や辛い体験、親の否定的な養育態度が要因となっています。ですから、発達障がいの人・発達障がいではない人、どのような人がパーソナリティー障がいになったとしても、人がパーソナリティー障害になってしまうのは、育ってきた環境や辛い体験・大人の養育態度が要因となって生じさせてしまった、2次的な障害といえるでしょう。

最後に

今回のような幼い少女が起こした事件の場合、最近は必ずと言っていいほど、家庭環境、親の養育態度、そしてパーソナリティー障がいと発達障がいが取り上げられます。今後は少年犯罪の専門家だけではなく、発達障がいやパーソナリティー障がいに詳しい専門家にも出演していただいて、法律面、心理面、医学面からコメントしていただくことが必要ではないでしょうか。

私自身発達障がいやパーソナリティー障がい、依存症の方などのカウンセリングをしてきて、またこのような悲しい事件が起こるたびに感じるのは、子どもへの支援や心のケアはもちろん、親や家族へのサポート・園や学校への公的なサポートが不足していることです。

今一番辛いのは、被害者のご家族のみなさまです。佐世保で起こった事件の少女がアスペルガー症候群か、パーソナリティー障害なのかという周囲の議論よりも、被害者の家族のみなさまの心情をくみとった思いやりの対応が、今は必要ではないかと私は思います。

また、このような事件が2度と起こらないようにするめにも、法律ではなく幼い少女の心の闇に潜む深い傷のケアをしながら、根本的な問題解決ができることを祈らずにはいられません。

参考記事:アスペルガー症候群・自閉症・広汎性発達障がいの特性。

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