
発達障がい関連の本や、セミナー、講演会などへ行くと、“自尊心の大切さ”を語られることが多いですね。このブログでも自尊心の大切さを書いた記事がたくさんあります。
そもそも自尊心とは?
自尊心とは、自分の人格を大切にする気持ち。自分に信頼できる気持ち。自分に安心できる気持ち。自分の思想や言動などに自信と誇りを持てることです。
自尊心を持つことが大切な3つの理由
理由1自動的にできないことが多い
発達障がいの子どもたちは、他の子どもが簡単にできることも、同じように同じ労力・努力でできないことがあります。それは1つだけではなく複数あります。
園や学校という社会的な場所で、他の子ども達と同じことをさせられて生活していくことは、肉体的にも精神的にも私たちの想像を超えた負荷がかかっているのです。
自尊心がなければ、このような負荷を乗り越えることはできないんですね。
理由2他の子との違いに気づいたとき
他の子どもと違うことに気づいたとき、「僕はみんなと違うんだ」「私は変な子なんだ」と思い、とても辛い思いをする子どもがいます。
みんなと違うことが良いことと受止められればいいのですが、人はそう簡単に回りの人との違いを肯定的に受止めることは難しいですよね。
理由3注意されることが多い
簡単にできないことが多いので、ちょっとしたことで注意をされたり指導されることが多いですよね。例えば、朝起きるときから「早く起きなさい」と言われ、園や学校へ行くと「騒がないで」「走らないで」「ここに並んで」「あれをして」などと、何かと指示されがちです。
朝から晩までこのように言われ続けたら、普通の人なら自尊心どころか「学校なんか行きたくない!」「どうでもいい!」と言いたくなるのではないでしょうか。
まとめみなさんはどう感じますか?
他にも理由はありますが、重要な3つの理由をあげてみました。みなさんはこの3つを読んでみてどう思いましたか?
たった3つのことですが、このように日々感じながら生きているとしたら、自分に自信など持てないでしょう。自分に安心などできないでしょう。自分に信頼することなどできないでしょう。
子どもの自尊心を育てるためには?
- 感情を入れてむやみに叱らない。
- 言葉や態度などを使って子どもがわかるように褒める。
- 辛く苦しい体験をさせない(フラッシュバックの要因となる)。
- 子どもに合ったハードル設定をしてスモールステップで体験・学習させる。
- 失敗体験を少なくする(本人にとって失敗と感じること)。
- 好きなことができる時間をできるだけたくさんとる。
- 成功体験をたくさんさせる(本人にとって成功と思えること)。
- 安心できる人を増やしてあげる。
- 安心できる環境を提供してあげる。
- 安心できる課題とあそびを提供してあげる。
- 最低でも小学校を卒業するまでは大人が徹底的に保護をする。
自尊心が努力できる力になる。
私が実際に支援を通して体験したことですが、小学校に登校できなかった子どもでも自尊心を高めてあげる工夫やお膳立てをすれば、楽しくイキイキと登校できるようになります。
その子は、苦手なことがたくさんありました。まず教室に入れない、みんなでやることに参加できない。友達と話せない遊べない。指示が通らない。かんしゃくやパニックを起こす。勝ち負けにこだわる。朝起きれないなど様々な苦手をもっていました。
しかし、子どもの特性をしっかりとアセスメントして、その子の特性に合ったコミュニケーション、人、環境、課題、遊びを提供しただけで、苦手なことにチャレンジする心、学校へ行こうと思う気持ち、苦手な勉強をしようとする姿勢、集団に参加することに対するストレスを乗り越える力を身につけることができたんですね。
ポイント子どもに合った支援をすると
子どもに合った支援 ⇒ 自尊心が育まれる ⇒ 心が太くなる。
ポイント子どもに合った支援をしなかったら
子どもに合っていない支援 ⇒ 自尊心が育たない ⇒ 心が細くなる。
最後に
子どもに合った支援は、自尊心が育まれ心が太くなります。
子どもに合わせない支援は、失敗体験ばかりを積ませることになり、自尊心が育つことなく、心が細くなります。
発達障がいの子どもの中には、園や学校でいつも不安を抱えながら過ごしている子どもがいます。そのような子どもでも、自尊心を高めることができれば、不安になりにくい心になります。
不安になりにくいということは、思考に柔軟性ができるということです。思考に柔軟性ができると、ストレスに耐える力が強くなり、2次障害になりにくくなるんですね。
また、かんしゃくやパニックもおきにくくなりますし、自分で自分の思考のクセを修正しようとする力もつきます。
子どもに合った子育てや支援をしなければ、自尊心が育まれず、簡単に2次障害、3次障害を発症させてしまうでしょう。
しっかりと根を張った子どもの心を育てるためには、子ども一人ひとりに合った支援と育て方が、絶対に必要なんですね。