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発達障がい子育て支援ブログ-オアシスの木

子育てと接し方

発達障がいの子どもが何かを選ぶときに注意したい3つのこと。

発達障がいの子どもが何かを選ぶときに注意したい3つのこと。

こんにちは、平良です。

発達障がい、特に自閉症、広汎性発達障がい、アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)の子どもは、「自由に選んでいいよ。」「自由に遊んでいいよ」といわれると、選ぶことができずに困ってしまうことがあります。

例えば、初めて行ったレストランで、メニューを見せて「自由に選んでいいよ」と言われても、選べません。

小学校の自習の時間で、「2時間目は自習の時間です。みんな自由に勉強しましょう」と言われて、何をしたらいいかわからない子もいます。

なぜ、「自由に選ぶ」「自由に遊ぶ」ということができないのでしょうか?

自由に選べない主な理由。

  • 想像力の問題。
  • 経験したことがない。
  • 2つ以上のことを同時に考えられない。
以上の3つが、主な要因です。1つひとつ説明していきますね。

Check想像力の問題
発達障がい、特に自閉症スペクトラムの特徴としてあげられるのが、「想像力の欠如の問題」です。想像力がうまく働かない子は、「自由」というあいまいな表現の言葉の意味(概念)が理解できません。画像としてイメージできないことは、理解しづらいのです。

幼稚園などでは、周囲の子の状況を見ながら、ゆっくりと自分も何かをし出すことがありますが、そういったときは、頭の中は真っ暗な状態になり、先の見通しが立てられずに不安でたまらないのです。

また小学校での自由時間も同様ですし、一番つらいのが休み時間です。

想像力が苦手で先の見通しが立てられない子どもにとって休み時間は、教師が何をするか提示しなかったら、私たちが考える「いわゆる休み時間」ではなく、“何をしたらいいかわからない不安な時間”になってしまうのです。

Check経験してないことは選べない。
例えば、幼稚園の園庭で遊ぶ時間に、一度、または何度か砂場で遊ぶという経験をすると、園庭で遊ぶ=砂場というイメージが頭の中で想像できるので、「園庭で遊びましょう!」と先生に言われても、子どもが不安になる心配はありません。

ただし、このような特性のある子は、記憶の仕方・記憶の結びつけ方・考え方・情報の捉え方が極端に偏っているため、毎回同じような遊びを繰り返すことが多いです。また、自分の好きな遊びにこだわり、ルーティーン化することで不安をやわらげ、混沌とした世界に自分なりの意味づけをしている場合もあります。

発達障がいの子どもが、園や小学校でいつも同じ遊びしかしない場合は、子どもが好きなことにこだわることで、不安をやわらげている自己防衛反応とみてあげましょう。

Check2つ以上のことを同時に考えられない。
発達障がい、特に自閉症スペクトラムの人は複数のことを同時に頭の中に映し出したり、考えたりすることが苦手です。狭く強く意識が向いてしまうため、目や耳から入ってくる複数の情報を一度に処理して考えることができないんですね。

自閉症の脳の特性はこちらの記事をご覧ください。

パソコンをイメージしてください。ウィンドウズは、複数のページをモニターに映し出すことができますよね。自閉症スペクトラムの人はウィンドウズのように複数のページを開くと、1つのページ以外は頭の中に残らず強制終了するのです(パソコン上は終了していないが、彼らの頭の中からは消える)。

このように複数のことを頭に浮かべることができないため、最初にしていたことに戻れなくなってしまうのです。その結果、複数のもの・複数のことから選択をするということが難しくなってしまうんですね。

自閉症スペクトラムの人は、情報は1つずつしか処理できないと考えて対応してもらった方が、彼らにとっては助かるのです。

もちろん簡単に選択できる場合もありますが、そのような時は、選択しているわけではなく、ひとつのこと・ものだけしか意識していないので、ただ単にそのものを選んでいる場合があります。また選択肢がすべて経験したことや、簡単にイメージすることができるものの場合は、問題なく選択できます。

当事者から学ぶ

今年(2005年)の3月、私は佐賀のNPO法人「それいゆ」に招かれて講演をした。佐賀での講演を終えたあと、私は、北九州市にも寄る予定になっていた。移動の日、「それいゆ」の服巻先生が佐賀駅まで送ってくださって、佐賀から小倉までの切符を買ってくださることになった。
佐賀から小倉へ行くには、博多で乗りかえることになる。佐賀から博多までの列車は一種類だから、べつに、選ぶ必要はなかった。選ぶ必要があったのは、博多から小倉への行きかただった。

服巻先生は、こうおっしゃった。「選んでください。選択肢はふたつあります。新幹線だと、乗ったら20分で着くけど、乗りかえるには、降りたホームから遠くまで歩くことになります。もうひとつの特急トニックだと、乗ってから40分以上かかるけど、乗り場が、降りたホームの隣だから、1本分しか歩かなくてすみます。どっちがいいですか?」

私は、荷物が多かったのと、よそでも乗る機会が多そうな新幹線よりは、珍しい列車に乗ってみたいのと、ふたつの理由でソニックを選んだ。
服巻先生は、それぞれの選択肢の中身を、くらべやすく整頓してくれた。こちらを選べばこうなり、こちらを選べばこうなるとわかるようにしてくれた。

でも、それだけではなかった。どうやら、提示する順番もよかったらしい。まず、「選んでください」と言われたから、「ああ、何か選ぶんだな」と思う。「ふむ、なんだい、聞こうじゃないか」という気になって、続きを待つ。

(俺ルール!―自閉は急に止まれない/ニキ・リンコ著)

高機能自閉症の当事者で翻訳家のニキ・リンコさんは、選択することの難しさについて、このように記しています。

ニキ・リンコさんの著書からわかることは、

  • 最初に今から選択してもらうことを伝える。
  • 一つ目の選択肢を、わかりやすくイメージできるように丁寧に伝える。
  • 次にもうひとつの選択肢があることを伝える。
  • 二つ目の選択肢を、わかりやすくイメージできるように丁寧に伝える。
ニキさんの場合、大人なのである程度経験していること、言語の理解力があること、そして選択肢が2つだけだったことと、服巻先生の説明がわかりやかったことで、問題なく選ぶことができたのです。

最後に

発達障がいの子の中には、選択することが苦手な子がいます。選ぶことができないのは、決して優柔不断とか、わがままや甘えではなく、想像力の問題からイメージができなかったり、複数のことを同時に考えることができない脳の特性が要因なのです。

こういった特性のある子を、私たちは根本から理解し、子どもたちが選ぶことに困らないよう、嫌いにならないよう、その都度配慮をしてあげる必要があるでしょう。

また、このような脳の特性からわかるように、たとえ選ぶことができたとしても、時と場合によっては、子どもの本心で選んでいないということがある、ということを親や支援者は知っておかなければなりません。

よく親や学校の先生方から、「この子が自分で選んだのに・・・」という言葉を聴くことがありますが、このような場合は、子どもが選択に困ってしまい、また理解をして選択することができなかったことが要因です。

子どもに選ばせる、子ども自身に判断を仰ぐということは、大人は子どもに責任を負わせ、自分で解決させようと意図していることが多いものです。

しかし、そのような考えは、子どもを追い詰めてしまうだけで、まったく支援にはなっていないということを、支援者は理解する必要があるでしょう。

子どもに選択させる時は、子ども自身が知っていることか知らないことか、子どもの好きなこと嫌いなこと、子どもの得意なこと苦手なことを事前にしっかりと把握し、選択肢の中に子どもが知っていること、好きなこと、得意なことを入れてあげることが絶対に必要です。

もし嫌いなこと・苦手なことだらけの選択肢だった場合、子どもは適切に断ることすらできないからです(理由はこちらの記事をご覧ください)。

発達障がいの子の支援は、まずはアセスメントです。アセスメントをしっかりして、子どもが困らないように支援をしてあげることが何より大切ですね。

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