
こんにちは、平良です。
自閉症・広汎性発達障がい・アスペルガー症候群など(自閉症スペクトラム)の子どもは、マンツーマン(1対1)の会話やゲーム・スポーツだと大丈夫ですが、グループをつくって話し合いをしたり、学習することがとても苦手です。と言うより苦痛です。
なぜマンツーマンなら大丈夫なのでしょうか?
自閉症スペクトラムの子どもは、五感(外部)からの情報は1つずつしか処理ができません(成長するにしたがって処理できることもある)。ですから、マンツーマンなら1人の人と話すことになるので、具体的に明確に短い言葉で話してくれれば、理解することができます。
自閉症の子がグループを苦手な理由
理由1同年代の子どもが苦手
そもそも自閉症スペクトラムの子の多くが同年代のお友だちが苦手です。グループ学習など子どもの人数が多くなればなるほど、不安と恐怖に襲われてしまい、話合いや学習どころではなくなってしまうのです。
中には、積極的に話す子もいますが、このような子どもは、周囲の状況や空気を読み取ることができず、『他の子が話す』⇒『それに対して自分が意見する』という暗黙のルールに沿うのではなく、自分の言いたいことを言って終わるということが多いです。
理由2情報が多い
グループの話合いや学習になると、子どもの人数が増えます(複数になる)。そうなると、複数の情報を同時に処理することできない自閉症スペクトラムの子は、頭の中が混乱してしまい、1つひとつの情報を整理して理解することができないんですね。
理由3規則がない
グループの話合いや学習は、基本的に自由に意見を出して、それをまとめることが多いですよね。自閉症の子は先の見通しが立てられないため、規則のない自由な話合いや学習は、不安でしかありません。
理由4同じことに注目できない
自閉症スペクトラムの子どもは、周囲の子と同じこと・同じものに注目して、考えたり話し合ったりすることが脳の特性上苦手です。グループの話合いや学習では、決まった課題について話し合ったり調べたりすること多いのですが、そのようなことを他の子と同じような労力ですることができないんですね。
どうしたらいいでしょうか?
自閉症スペクトラムの子にとって、グループの話合いや学習は苦手を通り越して苦痛だということを理解した上で、次のような配慮と支援をしてあげましょう。
- 話合いや学習の課題と話合う具体的な手順・進め方のマニュアルをつくって事前に全員に読んでもらう。
- グループの中で1人リーダーを決めてマニュアル通りに司会進行をしてもらう(できれば先生が気になる子のグループに入った方がいい)。
- 必ず1人ずつ話すようなルールをつくり、その通りに話合いを進める。
- グループの中に自閉症の子と合わない子・苦手な子は一緒にしない。
- グループに参加して発言ができるよう、その子に合ったお膳立てをする。
- 気になる子が楽しめるような工夫をする(集中してもらう工夫)。
- 先生や支援員がそばで援助する(その都度の指示は×)。
最後に
自閉症スペクトラムの子どもは、大人になってもグループの話合いや学習などが苦手で苦痛を感じます。無理に慣れさせようとしても、子どもに合った支援がなければ苦痛でしかなく、また失敗体験を重ねることで自分に自信を持てなくなってしまい、グループの話合いや学習だけでなく、人と話すことすら不安になってしまいます。
ですから、この記事に書いた理解と対応方法を取り入れて、子どもに失敗体験を積ませないような配慮と支援、そしてお膳立てが絶対に必要です。
自閉症スペクトラムの子にとって、グループでの話し合いや学習は苦手を通り越して苦痛だということを、ぜひ覚えておいてくださいね。
⇒参考記事:自閉症の子が自分の気持ちや考え話せない理由
⇒参考記事:自閉症の子が質問に答えれない理由と支援
⇒参考記事:自閉症の子がお友達と遊べない理由
⇒参考記事:自閉症の脳の特性