
こんにちは、平良です。
発達障がいの子の中には、幼稚園や学校から帰宅すると、一目散に自分の好きなアニメやヒーローもののDVD、テレビ番組ばかりをずっと見てしまう子がいます。
中には、あきることなく、何度も、毎日のように繰り返し同じアニメを見る子がいるんですね。
このような子を育てているお母さんは、「お友だちと遊ぼうとしないし、本当にこれでいいの?」と心配になることも多いのではないでしょうか。
子どもはテレビが大好き
子どもの頃を思い出してみてください。
みんなテレビが大好きでしたよね。
発達障がいに関係なく、そもそも子どもはアニメやヒーローもののテレビが大好きなんです。
ちなみに私も大好きでした。
定型発達の子とは少し理由が違う
ただ、自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障がいなど、自閉症スペクトラムの子の中には、自分の好きなことばかりしようとする特徴があり、アニメやヒーローものをテレビで見るのが好きな子は、定型発達の子とその要因となっている理由が違います。
Check世界を広く認識できていない
発達障がいの子の中には、脳の機能上の問題で、見ているもの・こと、頭の中に浮かんだこと・考えていることが、強く・狭く(1つのこと)に注意が向いてしまう傾向があり、そのような特性を持っている子は、自分の興味のあることに意識が向いてしまうと、そのことだけを強く考えてしまいます。
このような子は先の見通しが立てられないため、好きなこと・好きなものにすがることで、不安を軽くすることができるんですね。
Check好きなことでストレスを解消する
発達障がいの子は、自分の好きなこと・自分の好きなテレビ番組やDVDを見ることで、幼稚園や学校で抱えたストレスを解消します。
大勢の子どもたちがいて、騒がしく、何かをみんなと一緒にしなければいけない幼稚園や小学校・中学校は、発達障がいの子にとって、私たちが体験できないようなストレスを感じているのです。
そのような子にとって、園や学校から帰宅して、真っ先に大好きなアニメやヒーローもののDVDを見ることが、唯一不安とストレスから逃れられる手段だといえるでしょう。
Check生きるための意味づけ
特に自閉症傾向のある発達障がいの子にとって、自分の好きなアニメをテレビで見ることは、生きていくために必要な“意味づけ”でもあります。
広く世界を認識できない、混沌としたわかりずらい世界を見ている子にとって、好きなことをすることは、生きるために絶対に必要なことだといえるのです。
どうしたらいいでしょうか?
どんな子どもも、テレビを見ることは大好きです。ですから、発達障がいの有無に関係なく、定型発達の子どもと同じしつけが必要です。
Checkルールをつくる
子どもが好きだからといって、テレビを見たい放題にさせていては、子どもは自分のやりたいことはすべて許してくれるものと、誤った学習をしてしまいますので、年齢や発達段階に応じたルールを決めてテレビを見せてあげることが必要です。
できれば子どもが約束できるルール、子どもが承諾してくれるルールを子どもと一緒につくり、子どもが守れるように褒めてあげたり、お膳立てをする工夫をしましょう。
Checkテレビを見る以外のことをさせる
発達障がいの子は、脳の特性やストレスの蓄積、不安、発達の未成熟さなどが要因となって、自分の好きなテレビを見ることができないと、かんしゃくやパニックを起こしてしまう場合があります。
かんしゃくやパニックを起こさせないためにも、ルールをつくることはもちろんですが、子どもに合わせた代わりのことを提示したり、普段の生活の中でテレビ以外に好きなことをつくってあげる必要があるでしょう。
叱ることはNG
発達障がいの子は、暗黙の了解や親の態度から意味を察すること、ルールを身につけることが、とても苦手です。
そのような子に対して、「テレビばっかり見て!」などと頭ごなしに叱っても、まったく意味はありません。それどころか自己肯定感をもてない子どもに育ってしまいます。
叱る前に、ルールと約束、テレビ以外のことに興味をもたせる工夫と、お膳立てをしっかりして、できたら褒めることを基本に子育てをすることが大切なんですね。
最後に
発達が気になる子・発達障がいの子が、自分の好きなアニメやヒーローもののテレビ番組を見ることは、決してわがままでも甘えでもありません。
定型発達の子に比べ、発達が遅い未熟さや、発達(脳の機能)に偏りがあるために、自分の好きなことに没頭してしまうんですね。
ただ、だからといって、やりたい放題・見たい放題させてしまうと、子どもは勘違いをして誤った学習をすることになるだけでなく、自分の殻に閉じこもってしまう可能性が高くなりますので、ルールを決めて、他の事に興味を持てるよう、日々の生活の中で色んな体験をさせてあげることが大切です。
大人の発達障がいの方が、「好きなことや趣味をしているときは、唯一不安から開放される時間」だと言っていました。
子どもから好きなことを取り上げてしまうと、彼らは不安でたまらなくなります。
自分の世界と周囲の世界の橋渡しの役割を、私たち周囲の大人がしてあげることが大切なんですね。